血液凝固と臨床工学技士
| 固定リンク 投稿者: kazu
JR蒲田駅から徒歩2分の蒲田キャンパスに沿って「呑川(のみがわ)」という小さな川があります。この呑川、去年とつぜん日本中で有名になったんです。そうです。映画「シン・ゴジラ」でゴジラが東京湾から最初に上陸したのがこの呑川です。
蒲田駅前の避難シーンでは地域の皆さんもエキストラとして協力したそうですが、幸いにも映画でも本学の校舎は破壊されませんでした(笑) 多摩川を越えて再度攻めてきたゴジラは自衛隊や米軍の攻撃もものともせず、東京都内を破壊してまわりました。このゴジラを倒したのは、血液の固まり易さ(血液凝固能と言います)を狂わせる薬剤でした。
血液は血管の中ではさらさらとスムーズに流れますが、血管外に出たり、異物に触れると固まる性質があります。これはケガをした際に、出血が続かぬようにするために生物が身に着けた防御機能。もちろん人間にも備えられています。
ところが臨床工学技士が人工透析装置や人工心肺装置などの体外循環装置を操作する際、患者さんの血液が器械や途中のチューブの中で固まってしまうと大変なことになります。心臓・肺・腎臓などの機能を器械が代行できないだけでなく、固まった血液の固まり(血栓)が患者さんに戻ると、脳をはじめとする重要な臓器への血管が詰まってしまうからです。
このため臨床工学技士が体外循環装置を操作する際には、血液が固まらなくする薬剤(抗凝固薬)を使います。体外循環が終了した際には、必要に応じて抗凝固剤を中和する薬も使います。臨床工学科では、このような血液凝固のメカニズムと薬剤についても勉強します。
臨床工学技士の仕事は単なる器械の操作だけではありません。時々刻々変化する患者さんの状態に応じて、医師と共同して様々な薬剤の力も使って、患者さんの命を支えているのです。 こんど映画「シン・ゴジラ」をご覧になるときは、血液凝固のメカニズムについても考えてみてくださいね。